Orancistrocerus drewseni　de Saussure,1857
【体長】メス14-18mm。オス12-14mm。
【発生期】春季-秋季。年2化する。
【分布】本州、四国、九州、佐渡島、淡路島、対馬、大隈諸島；朝鮮半島、中国、台湾。

日本産の本種は、名義タイプ亜種とされる。
Ancistrocerus fukaianus　Schulthess,1913　はシノニム。
以前はオオカバフスジドロバチ、またはオオカバフドロバチの和名で呼ばれた。
日本の個体群にはほぼオスがいないため、単為生殖をする。
韓国、中国、台湾の個体群ではオスが普通に羽化するが、国内でもごく稀にオスが採集された記録がある。
建造物の隅や閉鎖空間・地上既存坑に営巣し、蛾の幼虫を狩る。
産卵後、数頭～十数頭を貯食し、その後随時給餌するといわれる。
ヘチマ型の土の多房巣を作り、煙突状の特徴的な入り口を下向きに付けるが、最後に取り壊して巣の封鎖に利用する。
古巣を利用する事が多く、さらに他種の泥製の巣も利用し、アメリカジガバチの古巣をそのまま利用した例がある。 ノブドウを訪花するメス。
2005年5月19日、佐賀市。 エントツ型の入り口から巣に入るメス。
手ぶらで帰巣する姿がよく見られる。
巣内の状況は分からないが、随時給餌をする為、幼虫の成長に合せて獲物を搬入する。
2024年6月8日、兵庫県姫路市。 新しい巣を作り始める。
古巣を利用する事が多く、中々観察できない。
2011年7月31日、佐賀市。 狩りの準備が出来た巣。
単房巣の様に見えるが、珍しい。
2011年8月7日、佐賀市。 寺院の土塀から巣材の土を採取する。
2006年6月18日、佐賀市。 土を泥団子にして巣に運ぶ。
2005年5月29日、佐賀市。 入り口の煙突を伸ばしていく。
1980年頃、兵庫県加古郡。 蛾の幼虫を搬入する。
随時給餌をおこなうとされ、巣によって狩りの頻度が違う。
2011年7月10日、佐賀市。 サカキの葉を綴った蛾の幼虫を探る。
2017年6月3日、佐賀県唐津市。 蛾の幼虫を搬入する。
2009年5月23日、佐賀市。 「煙突」を取り壊し、その土を利用して巣を塞ぐ。
トックリバチが、徳利の首を使って巣を塞ぐのと同じだ。
2006年7月9日、佐賀市。 竹筒のトラップネストに作られた巣。
内部に土で育房を作っている。
1室目の幼虫はもう老熟している。
1980年頃、兵庫県加古郡。 卵と餌。
卵は他のドロバチ類と同じく、育房の天井から糸状のもので吊るされる。
餌の搬入は孵化前から開始される。
1980年頃、兵庫県加古郡。 育房内の蛹。
1978-9年頃、兵庫県加古郡。 少し珍しい場所に作られた巣。
松の枝の付け根の下に作られている。
2024年8月13日、兵庫県加古川市。